平成16年11月、瀬戸内寂聴氏の新作『藤壺』が発表されました。これは、"紫式部によって『源氏物語』が書かれた時点では、全五十五帖から構成されていた"という説に基づいて、瀬戸内氏が独特の感性によって"幻の一帖"を創作したものです。これに先立ち、平成15年6月には、丸谷才一氏著作の『輝く日の宮』が出版され、大きな話題となりました。丸谷氏は、"幻の一帖説"の謎を追うことにより学界で孤立していく美人国文学研究者の恋愛物語と、『源氏物語』とを、まるで"複雑に交差する万華鏡のなかの色彩と光の世界"のように美しく描きあげています。

 "平成の源氏ブーム"と評される現在に至るまでにも、"口語訳"や各国語による"翻訳"に挑む文学者、研究者はかなりの数にのぼり、日本を代表する多くの芸術家たちにとって、『源氏物語』は常に創造の源、究極美であり続けてきました。その一人であった故・谷崎潤一郎氏にとっても、『源氏物語』と紫式部は、西洋文学における"エディプス・コンプレックス"的位置づけにあり、決して超えられない偉大すぎる目標、あるいは大きな障壁として存在していた、と言われています。

 このように、平安中期の11世紀初頭、才気溢れた宮廷の一女房によって書かれた日本文学の最高峰に位置づけられる『源氏物語』は、千余年の時を経た現在もなお、その強い磁力により私たちの心を捉えて離しません。

このページは、平成11年11月3日から12年1月8日まで、京都新聞に「かたちのなかの源氏物語」という本当に美しい記事を連載されていた編集委員の林恭子さんへのオマージュとして企画しました。14年9月に急逝された故人の繊細な感性は、多くのファンにとっては、正に"紫式部の世界"そのものでありました。心よりのご冥福をお祈り申し上げます。

 日本人として世界に誇る『源氏物語』の美の世界を味わいながら、京都を計画的に巡る旅、『源氏物語』から京都を再考する旅・・・という具合に楽しんで頂くために、このページをお役立て頂ければ幸いです。まずは以下に続くマップの第一弾をお届けしますので、マップ内のポイントをクリックして、各所の情報をご覧下さい。

『源氏物語』ゆかりの地説明板

 今年2008年は、『源氏物語』が確認されてちょうど1000年にあたり、各地で「源氏物語千年紀」の事業が行われています。京都市は3月、平安時代の建物跡などを紹介する「ゆかりの地」の説明板を市内40か所に設置しました。源氏物語に詳しい同志社女子大学の朧谷寿教授の指導による説明文や地図、写真などの資料が書かれています。(一覧は下記“「ゆかりの地」説明板設置リスト”をクリック)

 各所の情報については追って掲載したいと思います。折をみてご覧に来て頂ければ幸いです。


「ゆかりの地」説明板設置リストはコチラ(別ページで開きます)


“源氏物語と紫式部”に縁のあるスポットをご紹介 日本文学の最高傑作にまつわる逸話や物語の概要。 『源氏物語』の作者の経歴と逸話のご紹介。