
「京都の素敵な暮らし」をテーマに、様々な人・場所・物を取り上げていきます。
VOL.1 『町家を愛し、京の路地(ろーじ)を撮る』水野歌夕さん(写真家・「町家写真館」館長)
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平成12年10月、西陣に“水野克比古フォトスペース「町家写真館」”をオープンさせ、館長を務めると同時に |
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| 〓まず、この町家でギャラリーを開くことになったいきさつをお聞かせくださいますか?〓 もともとは、この家に住むつもりだったんです。でも、この空間に入った瞬間に、この家の持つこれまでの“歴史”や“生活の匂い”、住んでこられた方の息づかいというか、そういう雰囲気に魅せられて・・・。それを大切にしたいし、他の方にも見ていただきたいと思って、ここをギャラリーにしようって決めたんです。 昔から、いつか父の写真ギャラリーを開きたいという気持ちが家族の中にありましたし、私もそのために学芸員の資格を取ったりしたんですが、町家をギャラリーにすることを思い付いたのは、この家を見てからなんです。 |
〓今の状態にまで修復するのは大変だったのではないですか?〓 もちろん、すぐに使えるような状態ではありませんでしたので、直すのに1ヶ月以上かかりました。家の柱が根元から腐ってしまっていて、たくさんの柱を根継ぎするという大工事だったんです。実は、自宅も町家を修復したものなんですが、こちらは土台から陥没してしまっていて、家全体を持ち上げて工事をするのに、お城を持ち上げる職人さんにまでお世話になったんです。普段、巨大なお城を持ち上げているだけあって、この家は軽すぎて手応えがなかった言うてはりました。(笑)使用する木材なども出来るだけ新しいものを使わんと、解体された古い民家などから持ってきたりして、家が建てられた当初のオリジナルに近い形に向けて修復したんです。木や材料を探したりするのも、なかなか楽しかったんですよ! でも、全て古いものにこだわっているというわけでもなくて、ガスを使わずに全部電気に切り替えるなど、良いものは新しいものでも取り入れてます。火の心配もありましたし・・・、本当はエコロジーを考えると太陽電池での自家発電とかできたらええんですけど、ここでは無理ですね。(笑) 台所だった場所も現在修復中で、”おくどさん”を取り寄せたばかりなんです。町家を探す際、“通り庭”があることが絶対条件でした。この家には井戸も残ってますし、台所が完成したら“通り庭”も公開したい思うてます。
〓展示されている写真はもちろん、部屋に飾られている端午の節句のお飾りも素敵ですね〓 ありがとうございます。建物自体や写真だけではなく、町家での“暮らし”や“季節のしつらい”なんかも、町家生活の一部として見て頂きたいと思って飾ってるんです。お飾りに合わせて、展示する写真を変えたりもしてるんですよ。
![]() 〓とっても落ち着く雰囲気ですね。特に2階は本当にくつろげますね〓 はい。皆さん、おいでになると長居される方が多いんです。 最初は2階を公開する予定はなかったんですが、この2階が良いとおっしゃる方が多いので公開することにしたんです。 お2階に上がられると、皆さん、なかなか降りて来はりません。(笑)2時間位、ポーっとしてる方もいてはるんですよ。 |
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〓歌夕さんが写真家への道を進まれたのは、やはりお父様の影響ですか?〓 うちは母も写真を撮りますし、物心がついた頃から父の撮影に付いてまわってたので、家にそういう雰囲気があったというか・・・意識するというよりは自然とそうなったいう感じです。 父は、気が散るからという理由で、家族の者しか助手にしないんです。子どもの頃は訳も分からんと付いていたという感じですが、高校生くらいからでしょうか・・・ちゃんと助手としての役割が果たせるようになってきたんは。 撮影で、京都のお寺さんにはほとんど行かせてもらったと思いますが、絵になる写真を撮るために照明を設置したり、お庭の掃除をしたりと結構準備が大変で、写真を見るとその時の苦労を思い出したりもします。父はシャッターを切るほうに集中しているので、そのような苦労があったことも、私が付いて行ったかどうかもあまり覚えてないようです。(笑) 私が本格的に写真家を目指そうという意志を固めたんは、大学を卒業した後なんです。カメラを全く触らへん時期もありましたし、父の「カメラや写真だけではなく、全く別の分野のことも学ぶべきだ」という考えもあって、大学では好きだった歴史を専攻しました。その歴史の中でも、“生活や暮らしの歴史”といった分野が最も好きでした。 ![]() 〓“暮らし”や“日常”というのがキーワードのようですね〓 そうですね。町家に関してもそうですし、やはり私の撮りたい写真もそういったもんなんです。 京都新聞で連載した際も、“人々の生活”や“日常”をテーマとしてましたし、それが深く感じられる裏路地なども好きでよく撮ります。 町家はどんどん数が少なくなってきていますが、“暮らし”が感じられる町家は、街並として絶対に残って欲しいものです・・・社寺仏閣以上に・・・。これは、写真家としてだけではなく、人として強く思ってます。
〓小さなお子さんがいらっしゃるという事ですが〓 子どもを育てるのに、町家って本当に都合がいいんですよ! 夏には土間にビニールプールを置いて遊ばせたりしても、家の中でありながら水で濡れても大丈夫ですし、2階に上がると、最近の住宅にはない面白さというか、子どもには秘密基地のように映るようで、一人でも飽きずに遊んでくれています。かくれんぼをしても、隠れるところがたくさんありますしね。 自宅もすぐ近くなんですが、江戸時代に立てられた蔵があって、薄暗い中でも怖がりもせんと楽しく遊んでいるようです。 〓お子さんと言えば、「京都の躾を語る女性の会」の提言者でもいらっしゃるそうですね〓 はい。この会は、京都の伝統文化を継承する人々のお話を伺ったり、祭事や行事を学ぶことによって、失いつつある“暮らしの文化”を取り戻すとともに、子育て文化を創造していこうというものです。この会ではいつも託児所を設けているので、小さなお子さんがいる方でも安心して参加していただけます。もちろん、お子さんがいはらへん方でも、女性なら誰でも参加してもらえます。 (詳しい情報は⇒http://www.net-k.co.jp/situke/ ) 〓写真家、館長、町家再生、そして母親として・・・本当にお忙しいですね〓 最近、なかなか写真を撮る時間が取れないので、少しストレスが溜まり気味なんです。「このままじゃいけない!」という焦りもあって・・・。 町家に関わっていくことは私のライフワークやと思ってるんですけど、あくまでも本業は「写真家」であると思ってます。でも、それぞれが深く関わりあっていて、上手い具合に個性になっていると思います。 いつか、京都の季節の歳時記のようなものを、若い人達にもわかりやすいように本で紹介したいと思ってるんです。京都の年中行事、町家での季節のしつらい、おばんざい料理・・・などなどの写真を撮ってまとめることができたらいいなあと思ってます。例えば、年末には餅つきをして・・・そんな生活を子供にも伝えていきたいんです。 ![]() 〓最後に、京都で好きな場所についてお聞かせください〓 あーどうしましょ・・・いっぱいありすぎて・・・。父の撮影で、たいていのお寺さんには行きましたので。 春の桜の時期では平野神社が好きですね。ここは桜の種類が多く、桜を長く楽しめる場所です。 夏は詩仙堂、法然院さん・・・、秋の安楽寺・・・挙げると本当にキリがないです。でも、全体的に季節を通して東山周辺が好きかもしれません。 子どもを連れてよく散歩にも行くんですけど、東山一帯は良いお寺が集まってるので、一度足を運ぶといくつか回れるのでいいですよ。 〓今日はお忙しい中、お話いただきましてありがとうございました。今後のご活躍を、楽しみにしております〓 |
| 【水野歌夕(みずのかゆう)さん プロフィール】 1969年京都生まれ。佛教大学文学部史学科卒業後、写真家である父-水野克比古氏の助手となり、自らも写真家として“日々の営み”をテーマに路地風景などを撮影している。 95年丹生渓谷フォトコンクールで、グランプリ受賞。96年第5回京都現代写真作家展、2000年第7回同展で優秀賞受賞。03年には第9回同展で大賞を受賞。 |
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●●●水野克比古フォトスペース 「町家写真館」 ●●● |
京都を写す写真家・・・といえば、真っ先に思い浮かぶのが水野克比古氏。本屋さんの京都関連コーナーや写真集コーナーなどにも水野さんの写真集がずらーっと並んでいるし、パンフレットやら何らかの形で、知らぬうちに彼の写真に触れているという方も多いのではないでしょうか? ここ「町家写真館」では、京都の美しい風景写真を、京都らしい空間の中で、しっとりと堪能することができます。大きく引き伸ばされた迫力ある写真と、町家の風情をいっぺんに楽しめるなんて・・・“京都”を感じることのできる絶好のおすすめスポットです。 ![]() 【町家写真館】 〒602-8214 京都市上京区大宮通元誓願寺下る 電話:075-431-5500 FAX:075-431-5511 *午前11時〜午後5時 *日曜・祝日休み *入場無料 (要予約) |
| ●●●写真集出版及び展覧会のご案内●●● このたび、歌夕さん念願の写真集「京の路地風景」が出版されるにあたり、出版記念写真展が開催されます。 皆さん、お誘いあわせの上、是非「町家写真館」に足を運んでくださいね。 「京の路地風景」写真展 日時:2005年9月24日(土)〜30日(金) AM10:00〜PM5:00
オールカラー96頁 ¥2500+税 誰にでも人生のある時期の出来事や思い出と結びついて、心に浮かぶ道があります。それは、懐かしい家路への道、通いなれた通学路、それとも大切な何かが待つ場所へと続く道かもしれません。 |