三方を山に囲まれ、夏は暑く、冬の寒さも厳しい京都。
京町家には、そんな季節を快適に暮らすための先人の知恵・工夫がたくさんあります。

杉本家は季節によって、また行事に合わせて家の装いを変えます。
それは、日本特有の四季を心地よく過ごすための生活の知恵でもあり、
陽の光や風のそよぎに季節を感じ、また、その風情や美しさを目で楽しむためのものでもあります。

       杉本家の四季を通しての様々な行事の際のお飾りや、古くからのしきたりなどをご紹介します。




春を迎えた杉本家の庭には、椿、水仙、ヒヤシンスなどの花が咲きほころびます。
京都では、ちょうど桜が咲く頃の4月上旬にお雛様を飾ります。雛の納められた箱の蔵からの運び出し、飾り付けにはかなり手間がかかりますが、春に欠かせない仕事です。

<4月3日> *雛の節句 :
京都では、旧暦三月三日にあたるこの日に雛祭りを祝います。
<5月5日> *端午の節句 :
男子の成長を願う節句。節句人形を飾ります。



<6月1日>
涼を得るために、多くのふすまや障子が取り払われ、簾戸(すど)や簾(すだれ)といった夏用の建具に代えられ、畳には網代(あじろ)が敷かれます。
簾はその実用性だけではなく、風に揺れる様によって視覚的に涼感を得ることができるという、日本古来からの先人の知恵なのです。

「中の間」から「座敷」を見たところ。建具の代わりに掛けられた透明な絹織物が風に揺れ、涼感を誘う。

「八畳の間」から簾越しに望む露地庭。
<7月14〜16日> *祇園祭 :
伯牙山のお飾り場として、毎年、通りに面した部屋や「店の間」に屏風や祭りに使われる懸装品(けそうひん)が飾られ、道行く人の目を楽しませてくれます。

「店の間」には、伯牙山のご神体や懸装品が飾られる。
町家では、晴れの日には表玄関に幕を張る。
玄関には、ご神体のお飾り所として場を清めるための
注連縄(しめなわ)も飾られる。
右に見えるのが「伯牙山」。

鱧(はも)ずし、鱧のおとし、だし巻卵、小なすの揚げ煮、小芋の煮物などを盛り付けた、祇園祭のお料理。

伯牙山のちまき

<8月5日> *創業記念日 :
杉本家初代が呉服商を創業した日。座敷床にご先祖ゆかりの品々を飾り、祝います。

9月のお彼岸の頃には、夏用の建具から障子、襖(ふすま)へと建具替えを行い、10月下旬頃に火鉢を出すなど冬支度が始められます。

お月見のしつらい

11月には露地庭のもみじも紅葉し、
町家にも秋が深まります。


障子を張り替える前に、
綺麗に洗って干します。


火鉢

師走。13日の「事始め」を待って、京の市場には正月料理の材料が並べられ、正月の準備が進められます。
28日頃には一年の垢を落とす大掃除を行ない、あわただしく大晦日を迎えます。
<大晦日>
八坂神社へおけら参りへ。この火を元旦のお雑煮の火種にすると、無病息災に過ごせるという習わしです。
<正 月> お雑煮には家紋がついたお椀を使用します。男性は内外黒塗りに朱色の紋、女性は内側が朱塗りで紋が銀色と決められています。
4日は「お鏡開き」、7日には七草粥、15日の小正月は小豆粥で祝います。

   

   


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