2005年3月18日版

<VOL.4> 英国生活の体験を活かし、Natural eleganceをコンセプトとした
          生活提案を続ける“ライフクリエーター”

     エル商品開発研究所 主宰 中島 ちか子さん

第4回目は、中島ちか子さんにお話を伺いたいと思います。

〓Interview〓
Q. 現在、滋賀県高島市にお住まいの中島さんについては、お洒落なライフスタイルが既にマスコミ等から注目され、"カントリーライフの達人"としては著名人ですが、大阪南船場に会社を構えてご活躍だった頃から現在に至るまでの経緯を、簡単にお話しいただけませんか。
A. 約20年程前の'86年に、"女性だからこそ発想できる商品開発をしよう"ということで、「エル(Life Live Ladies)商品開発研究所」を女性スタッフだけでスタート。私自身が英国生活で体験したカントリーライフへの思いから自然と関わりのある仕事をはじめ、"Natural elegance"をテーマに、家庭用品から、ファッション、食品、空間、環境という生活全般に関して、デザインテイストを求めるクライアントとのお付き合いをしていました。今でこそ"ライフスタイル"を商品化する仕事は普通ですが、当時はまだ珍しかったと思います。当初から、「仕事は10年間だけ」と心に決め、「人生の後半は自然の中でカントリーライフをしたい」と思っていたこともあり、'95年秋、皆の了解を得て今の地(当時は滋賀県高島町)に拠点を移したのです。以来、自然の恵みに感謝し、手づくりのぬくもりの素晴らしさを伝え広めていきたいと願ってきたのですが...。
さて、「今、いったい何屋さんなの?」といわれると返答に困ります。スタートはコピーライター。次に商品開発プランをまとめる仕事をしていくうちに、自分で絵を描く方がクライアントとの話が迅速に進められたことから次第にデザイナーの領域を侵害。そこで生まれた新商品を売り出すための売り場企画から店舗デザインへ。そして、商業施設の開発デザイン、新しいスタイルのホテル開発にということになったのです。
従って、「何を目指してということではなく、求められるがままに、その時点で学習を積んでやって来た」ということでしょうか。ただ、デザインということについては、「これからの消費社会に求められる商品とは?」という商品開発指向が原点にあるので、感性という領域に溺れないことに注意をしてきましたね。
Q. 中島さんが手掛けてこられたお仕事のなかでは、例えば『神戸北野ホテル』や京都の『新・都ホテル』のリニューアル等を存じ上げていますが、このような大きなプロジェクトに関わっていらっしゃった当時を振り返って、何かお話いただけませんか?
A. 最近でこそ、小規模でグレード感のある"ブティックホテル"がブームですが、『神戸北野ホテル』の開発計画当時は、コンセプトの一端である"新しいホテルライフ"についての私の考え自体を理解してもらえなかった。まず、何よりも、大手ゼネコンの設計担当者との間には大きな意識の隔たりがありました。具体的なところでは、彼等にとって、"ホテルの受付は、腰高のカウンターでなければならない"とか、"浴室は、ユニットバスで窓は必要ない"とか、"大型ビジネスホテル以外は、ホテルではない"等、沢山ありました。そこで、プロジェクト関係者に提案したのが、"ヨーロッパ・マナーハウス小規模ホテルの見学体験ツアー"。これには、ゼネコンからも営業部長と設計担当が参加し、実際を体験してもらったことにより、関係者の意識が大きく変化。まさに、目からウロコ状態で、帰国後の打ち合わせからは、今まで理解しようとしなかった担当者たちが、「ここまで変わったか?!」と思う程で、まあ驚きましたよ(笑)。

'97年の京都の『新・都ホテル』全面改装プロジェクトについては、滋賀県での田舎暮らしを始めてからお受けしましたので、言わば"独り立ち"後の仕事。新築のホテルデザインとは違い、20年の歴史を刻んだホテルで、当初のデザインが著名な先生作であり、さらに営業をしつつの改装ということで、大いなる工夫が必要でしたね。私一人で受けることとなったため、日程調整のような事も含めてすべてに対応しなければならず、確かに大変でした。これまでが"事務所のチームワーク"とするなら、"まったく一人の個人ワーク"であり、長く仕事をして来た中での初めての試みを経ての達成感という意味では大きな位置づけだったと思いますね。
Q. 最近では、どんなお仕事をなさっていますか?
A. 一昨年から二転三転してきた住宅計画が昨夏に何とか決定。予定工期を大幅に超過し、現場に張りついての複雑なやりとりを重ね、やっと完成にこぎ着けることができました。本件の施主さんですが、「これから老後をすごすための住まいだけど、どこにでもあるようなのはイヤ。老夫婦が"これまでにない新しいライフスタイル"を楽しめるようなオシャレで素敵なものにしてほしい」と要望されたことはとても嬉しかった。だって、老後と言えば、"それまでのスタイルを引きずっていく"というのが大方でしょう? ですから、"終の住み家"だからこそ思う存分トライしたいという意向を持った施主さんに出会えたことと、その施主さんに完成した住宅を喜んで頂いたことに対して、まさに"神に感謝"の気持ちです。
Q. 田舎暮らし/カントリーライフという点からも、情報交流におけるインターネットの意味などを勝手に想像するのですが、いかがですか?
A. すみません、まだまだインターネットがインテリア状態。でも、昨今の"ホリエモン騒動"のおかげで、これから使いこなして行くように頑張ろうと思っています。 只今、メールと無料の占いを毎日チェックしていますよ(笑)。ただ、"交流"ということでいえば、やはり人と人との直接的な関わりこそが基本で、特に、田舎暮らしにおいてはそう。ここ9年の間に、カントリーライフの素晴らしさを体験し、反対に大変さも実感してきました。だからこそ、「都会人が田舎暮らしを夢見て入ったところ、地域の人とのコミュニケートがうまくいかず、疲れるばかりで遂にはカントリーライフをギブアップせねばならなくなった」という話を聞くと、その前に相談してくれれば...と思うこともしばしばあります。田舎暮らしが続けられなくなった人たちの多くが、"地元とのつきあい"にあるといいます。確かに人の心をつなぐなんて簡単なものではないけれど、ちょっとしたことで、いい触れ合いに出会えてもらえたらなんて思ったりもするのです。だから、もう少し、ここに留まって、田舎暮らしの手解きをしようかと思うこともある今日この頃....かな(笑)
Q. 今中島さんのようなカントリーライフを体験した上での様々な助言を求める声は、今後、益々多くなるだろうと思います。ここでもうひとつ、これから人生設計を始める若い女性たち、後輩たちに、アドバイスをいただけませんか?
A. 人生設計を誤った私がアドバイスなんてはばかりますが、少しだけ長く生きてきたものとして言えることを一言(笑)。「好きこそモノの上手なれ」という言葉がありますが、仕事を求めていく場合には"心にフィットすること、体に心地いいもの"を選ばれることをお勧めします。興味があるもの、好きな世界なら、仕事仕事と意気がらなくても、自然にいろんな情報に触れていくものだと思います。好きでないものの情報を集めようとすると、無意識に引いてしまう場合が多い。例えば、かつての私のオフィス。どちらかというと洋風の住まい方が好きで、花や緑に自然に触れているのが心地いいという女性たちスタッフが集まり、そういった情報資料については、日頃から無理なく自然にコレクションの如く整理されていました。
仕事を求めるのに、そんな都合よくいかないと言われるかもしれませんが、すべてでなくても、ほんの一端にでもそういったものを見つけていくと、そこからまた次の何かと出会えるということだと思うんですが...。
Q. どのように、女性のネットワークを活用していくことが出来るとお考えでしょうか?
A. 私がこれまで仕事としてきた域から考えると、消費生活を支えているのは圧倒的に女性。なのに、大方の社会、経済界を見ていても、女性が登場すると珍しいこととして取り上げている。この今の時代でも...。まあ、昨今のTVを見ていても、オヤジが"おばさん化"しているので女性不用なのでしょうか。今の日本を危惧することのひとつに、女性がしっかりしなければと思うんです。男性であれ、何であれ、生命体としては女性にあるんだから。ただただ自己PRのためにホームページ等を開くんではなくて、意見を求め合いながら交し合って女性が意識の向上をはかっていけるようなネットワーク活用ができるなら、また大きな価値が生まれるんではないでしょうか。もし、もう既にあったとしたら、失礼しました。
Q. 中島さんの今後の予定、展望、計画などについて教えてください。
A. いっぱい偉そうなことを言ってきたのですが、さあて、大切な家族であるイヌ科の猫の"ハナ吉"9才と我が身の今後のこととなると、急に"おばさん乙女"になってしまうのです(笑)。最後の勇気を振り絞って、海外生活に出ようか。今の湖西の地では、夏暑いし、冬は寒い。でもカントリーライフは好きなので、もう少し南の方へ移ろうか。しかし、庭や畑がようやく落ち着き、形になってきた。地域の人たちとのいいつきあいが広まってきた。ただ体力に限界を感じることが多くなってきたという具合に、"揺れる乙女ごころ"なんです(笑)。
ただ、先ほどもお話しましたように、"質のいい自然の恵みをオシャレに食する喜びを多くの人に知ってもらえるような暮らしと、その延長線上の仕事"というように、カントリーライフの手解き役ということは考えています。日本古来の田舎の良さもあるし、日本の田舎で洋風に暮らす楽しさもあることも知ってもらうお手伝いや、まわりの野山から得た自然素材を用いたインテリアの楽しさを伝えるようなお仕事、と少しずつですが、方向性が固まり始めているところです。いずれにせよ、すぐに動く準備もできていないことなので、今少し、こんなカントリーライフの実際を発信していけたらとも思っていますので、それにはインターネットも大きな媒体でしょう。
もう少し暖かくなりまして、ハーブが咲き誇る時期がきましたら、どうぞ、また皆さんでお越しくださいね。
  

ご多忙な中、お邪魔させていただき、本当に有難うございました。


◆中島ちか子さんのプロフィール ◆

エル商品開発研究所主宰 設計・ コンセプトプランナー
「神戸北野ホテル企画、設計デザイン(神戸市都市景観賞受賞)」、「 明石病院特別養護老人ホーム内装・庭デザイン」、「京都蹴上・都ホテル宴会場などデザイン」、「新・都ホテル1997年全面改装の内外装企画、デザイン 」などをはじめとして、独自の感性で"ゆとりある暮らし"をテーマに、生活環境全般の企画開発を手がける。


参考:松下電工のサイト内の"THE・田舎暮らし"で、中島ちか子さんのライフスタイルを見ることができます。
http://www.mew.co.jp/naisjkn/sumai/stage1/kiji/k0103-3/01.html

 
W.W.Net
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