2005年4月18日版

<VOL.5> 従来の不動産鑑定業務の枠を超えた鑑定士として活躍中

     「(株)難波不動産鑑定」代表取締役社長の難波里美さん

第5回目は、難波里美さんにお話を伺いたいと思います。

〓Interview〓
Q. まず、"不動産鑑定士"というお仕事について、御自身の今までの経緯を含めて、簡単にお話しいただけませんか?
A. 元々、両親が所有する不動産に関して、早くからある一定の興味をもっていたということが、この道に進んでいった布石となったことは間違いありません。皆さん結構驚かれるんですが、実は私は、大学一年の時点で、既に"宅建(注:宅地建物取引主任者)"の試験を受けて合格しておりました。大学1年の時のゼミの先生に、「次は何を勉強したらよいでしょうか?」と、軽い気持ちで尋ねましたら、「"不動産鑑定士"の勉強をしたらどうか」というアドバイスを頂きました。この時、初めて、"不動産鑑定"という分野があることを知り、大学を卒業した年に、国家試験を受けて合格したことから、この道を歩み続けた...というのが、簡単に言えば、現在に至るまでの流れですね。
不動産鑑定士の仕事とは、皆さんもご存知の「地価公示」や「地価調査」、「相続税・固定資産税関連の評価」などの公的評価の他に、不動産売買に関わる調査としての「デューデリジェンス」や、企業買収・合併などと繋がった「資産評価」、「地代・家賃の増減額の算出」、「相続の際の財産分割」などの場でお役に立っています。

Q. 「司法試験」、「公認会計士試験」と並んで、「不動産鑑定士試験」の難易度は非常に高いことが一般にも知られています。
具体的にはどういう試験ですか?
 
A. そうですね、仰っている3つの試験を称して「3大国家試験」と呼び、3次試験まであります。来年度(平成18年度)からは新制度となり、現行の1・3次試験が廃止され、2次試験が"行政法規(択一式)"と"不動産鑑定評価理論"から出題される短答式と、"民法"、"会計学"、"経済学"及び"不動産鑑定評価理論"から出題される論文式の2段階となります。短答式試験に合格すれば、その後論文式に進みますが、論文式に落ちても2年間は、論文式から受験が可能となります。現在は、2次試験に合格して2年以上の実務試験を経た人に対して、「不動産鑑定士補」という資格が与えられていますが、これも廃止となります。いづれにせよ、やはり、結構厳しい受験勉強に備えて集中しなければなりませんね
Q. 「株式会社難波不動産鑑定」は、難波さん御自身が代表として経営されている事務所ですが、やはり、"不動産鑑定士"として自ら事務所を経営するという目標を、資格をとられた時点から考えていらっしゃったのでしょうか?
 
A. いいえ。昭和52年に大学を卒業して、同時に大手の不動産鑑定事務所に勤めました。当初は、それなりに楽しく仕事をしていましたし、独立という考えはもっていませんでした。ただ、ある程度仕事を覚え、ふと振り返った時期に、「会社の方針とは違う分野の仕事を開拓したくなって、一大発起で独立したのが平成2年。つまり、この「(株)難波不動産鑑定」も、今年で15周年を迎えたわけですよ。ほら、最近女性たちが使う表現があるでしょ、"自分で、自分を誉めてやりたい"って(笑)。その心境ですね。
 
Q. 女性の不動産鑑定士さんは、まだまだ少ないですよね?
A. そうですね。大学卒業して、この業界に入ったときに、女性の鑑定士さんとして頑張っておられたのは、関西ではたった3人でした。今でも女性は絶対数としては少ないですが、それでも過去と比べると、この分野の仕事が認知されてきましたこともあり、女性の鑑定士さんも増えています。よく、周囲から、「経営者が女性で、男性の鑑定士さんを雇うというのはやりにくいでしょう?」という質問を受けますが、それは全くなし! おそらく、女性の意識が変わった分、男性も変化しているからでしょう。うちの社員も、「代表者が女性だから...」とか、「女性社長に雇用されているから...」云々ということで、特別な感覚や意識のズレをもっていることはないと思います。
Q. 家庭との両立でのご苦労は?
A. 殆どないです。子供が生まれたばかりの頃も、自宅で仕事をしていましたし、無理なく家事と仕事を続けてきましたね。現在、長男は大学生になり,親元を離れ、長女は高校生ながら自分のことはそれなりにやっていますから、子育てという面での苦労は余り経験していません。また、主人は貿易関係の仕事をしていまして、これまた忙しい人ですが、お互いの領域を理解し、それなりにバランスを保つ努力はしてきました。ですから、"家庭との両立"というように構えたスタンスをとらず、ごくフツ〜に生活を続けてきた(笑)からこそ、仕事も続けてこられたんだろうと思います。
Q. 女性の不動産鑑定士としての付加価値なり、セールスポイントとなっていることはありますか?
A. "女性として"というのではなく、"難波不動産鑑定として"、独自のカラー、特徴を出したいと日頃から考えていますので、一般的な鑑定の業務枠を超えて、一歩先の提案が出来る会社を目指しています。持論ですが、"提案型"で事業の幅を広げていくには、不動産鑑定士だけではなく、様々な業界の方々との交流を広げていくことに大きな意味があると思っています。これは単に"仕事になるから..."という姿勢ではなく、やはり、自分の主義主張を明確にもった上で、"一人の人間として興味のある世界のなかに自ら積極的に飛び込んでいく"ことが大切であると感じています。
Q. 例えば、どのような方々との交流、ネットワークですか?
A. 会社員の時代からいろいろな異業種交流会に参加したり、また、自分で女性ばかりの業種交流会「ステッラ会」を運営していました。独立開業してからは、東京大学名誉教授の稲本洋之助先生の主催する「都市的土地利用研究会」、小売業者の情報交換会である「リザイ会」等に参加しています。また、日本不動産学会、日本土地環境学会にも積極的に参加し発表させていただいております。こういった交流会の中で、現在「日本ホテルレストランコンサルタント協会理事」、「(社)全国賃貸住宅経営協会大阪中央東支部 支部理事長」を務めさせていただいている他、自らが副代表理事として、NPO法人シヴィルプロネット関西で、「街づくり」に取り組んでおり、大阪府等の委託業務もさせていただきました。
Q. どのように、女性のネットワークを活用していくことが出来るとお考えでしょうか?
A. 私は、自分で女性ばかりの異業種交流会を1988年から2000年まで主催、運営してまいりましたが、その中で会員間相互、また、お招きした講師と会員間でビジネスマッチングが多々ありました。十分活用できます。
Q. 難波様の今後の予定、展望、計画などについて教えてください。
A. 私が独立開業する目的として、マーケティングの分野を開拓したかったのですが、お陰を持ちまして、賃貸住宅の分野では多少知られて参りました。また、他企業とのコラボレーションとして、現在阪急東宝グループエイチアンドエムコンサルタント(株)と「MRCレポート(取引適合性調査レポート)」を共同事業として立ち上げました。最近では、弊社独自のサービスとして、「賃貸住宅立地診断レポート」も始めました。今後も新企画を打ち出して、商品開発をしていくつもりです。
 

ご多忙な中、本当に有難うございました。

◆難波里美さんのプロフィール ◆

昭和52年に関西学院大学法学部法律学科卒業後、大手不動産鑑定機関を経て、平成2年に「株式会社難波不動産鑑定」として独立開業。「不動産鑑定士」、「補償業務管理士」、「不動産カウンセラー」、「宅地建物取引主任者」、「不動産コンサルティング技能者」、「ビル経営管理者」と、不動産に拘る多くの資格を活かした業務展開が高く評価されている。
また、不動産業界だけではなく、NPO団体等の幅広い活動にも積極的に参加したり、自治体関連の専門委員としても活躍中。


参考:株式会社 灘波不動産鑑定
http://www.nambakantei.co.jp/index.html

 
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